大学院受験を目指す皆さんへ
本研究グループでは、観測的手法(主に電波ですが可視光・赤外線・X線なども含め)に基づき、宇宙における多様な天体の形成・進化過程の解明を目指して、さまざまな研究を行っています。研究は、時に1大変地味で忍耐力を要することでもあります。森羅万象に対する旺盛な好奇心と謙虚な姿勢を常に持ちつつ、こつこつと地道に努力することを厭わない、ガッツ溢れる皆さんの挑戦をお待ちしています。
受入可能教員
東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻入学に関する情報
よくある質問2
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Q: 装置開発の経験は一切ないのですが、できますか?
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A: これまで、装置を作るなどという経験が無かった人でも、大学院から勉強をはじめて、開発的研究3でよい業績を挙げているという例はたくさんあります。要は御本人の努力次第。経験がないからといって最初から諦めたり敬遠したりする必要は全くありません。
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Q: 主に観測をやりたいのですが、装置開発もやらないとダメですか?
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A: 観測を中心に研究したい、というスタイルを指向される方も歓迎します。逆に、あまり観測には携わらずに、機器開発や実験的研究に没頭される院生さんもいます。自分がやりたいと思うことをとことんやって頂くというのが基本方針です。ただ、優れた観測的業績を挙げていく上で、そこで用いる望遠鏡や装置への理解というのは重要です。観測的研究のみを行う大学院生であっても、望遠鏡や装置の評価試験、立ち上げ測定などには積極的に参加して頂き、経験を積み、望遠鏡や装置への理解を深めるということを推奨しています。
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Q: ミリ波サブミリ波の研究室でも、すばる望遠鏡を使うことはあるのですか。
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A: はい、もちろんです。色々な波長での観測が進んでいる現代の天文学において、本グループが主な研究対象とする銀河はもちろん、どのような研究テーマであっても、何か一つの波長の観測だけで全てわかる、ということは(あまり)ありません。複数の波長のデータを突き合わせて多角的に研究を進める、ということのほうがむしろ一般的になりつつあります。当研究グループでも、サブミリ波での観測結果をもとに、すばる望遠鏡にプロポーザル(観測提案書)を書いてそれが採択され、ハワイに出張して観測しデータ解析をしている大学院生もいます。いよいよ稼働を開始したJWST宇宙望遠鏡など最新観測装置のデータも活用します。国内外の光赤外線 分野やX線分野などの研究グループと共同研究を行う機会も多々あります。
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Q: どんなセミナーがありますか。
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A: 研究進捗をお互いに報告し、問題点などがあれば議論する研究室ミーティング、および、新着論文や重要論文を読んで報告するJournal Clubがあります。さらに、主に学部生を対象として、基本的な教科書や論文を丁寧に読むゼミもあります(通称「4年生特訓ゼミ」)。詳しくはこちら。
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Q: 修士論文や博士論文のテーマとして、過去にはどのようなものがありましたか。
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A: こちらをご覧下さい。
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Q: 博士課程に行くかどうか、迷っているのですが。
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A: いろいろ迷うのは大変よくわかります。当グループでは、博士課程に行く・行かないにかかわらず、また、学位取得後に研究職を目指す・目指さないにかかわらず、大学院で一緒に研究に取り組む方を広く歓迎していますので、修士課程までのつもり、という方も、ぜひ出願をご検討いただければと思います。修士課程まで、という場合には、その間でまとまるような研究テーマを一緒に相談して決めていければと思います。一方で、修士課程の2年間は、やはり短く、研究の醍醐味を味わうところまでなかなか辿り着かない、という側面があるのも事実です。ご本人の興味がある限りは、博士課程までお勧めしています。本学理学系研究科は博士課程に在籍される大学院生の皆さんへの経済支援を強化しており、概ね7割以上の博士課程大学院生の皆さんが、何らかの経済支援を受け取れているという状況になっています。また、博士課程卒業後の就職についても多くの実績があります。当初は修士課程のみ、というつもりで研究を開始したはずだったけど、研究しているうちに面白くなって、結局博士課程に進学し、さらにpostdocとして研究を続けているという事例もあります。就職した後、天文学の研究に戻ってきたという方もいらっしゃいます。いろいろなキャリアが考えられますので、ぜひご相談ください。
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常に、の間違いかもしれません。 ↩
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正確に言えば、ガイダンスの時期に、時々ある質問、くらいだとは思いますが。 ↩
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装置開発とか、開発的研究、と言った時に、それがどのようなレベルの話を指すのか、というのは、実は、いろいろあり得ます。既存の技術や手法を使って、ある特定の研究課題・目的に適した新しい観測装置を作る、というのは、これはこれで一つの立派な「開発」です。一方で、開発的研究と言うからには、既存の技術の応用ではなく、新しい概念や手法を提唱し、また、観測技術に新しいブレークスルーをもたらすような物理過程の探究でなければならない、という考え方も当然あります。どちらが正しい、というよりは、何を目指すか、というスタンスの問題と理解したほうが良いかもしれません。当研究グループの、過去の課題研究・修士論文・博士論文のテーマなどを見て頂くと、いくつか「開発的」な研究がならんでいますが、当然、これらも、いろいろなレベルがあります。ただ、博士論文として開発的研究課題を選ぶ場合は、後者の意味での研究水準が要求されることになりますね。 ↩